ロジオンです。
今日は行動経済学の本の中でも有名なダン・アリエリー先生の「予想どおりに不合理(Predictably Irrational)」を読んでみました。
※ハヤカワ文庫 熊谷淳子さん訳 を読みました。
家族がTVのダン・アリエリー先生の講義を見ていたのをたまたま横目で見たのが、きっかけです。
書き出したら長くなったのでまず前半を整理します。
【概略及び感想】
・人間は経済学的に見ると、合理的でない行動を取ることが多い。
→そのことを示す実験研究結果が数多く書かれている。
・誰もが興味を持つようなテーマが多く、身近に感じられる。
・著者の独特な表現やユーモアにより、読みやすい。
【自分用の備忘メモ】
1) 相対性
相対性は理解しやすい。
比べやすいものを一生懸命比べるが、比べにくいものは無視する。
①雑誌のおとり戦術
・web版:$59、印刷版:$125、印刷版+web版:$125
なら、大半は印刷版+web版を選択(印刷版と比較するから)。
・web版:$59、印刷版+web版:$125
なら、web版を選ぶ人が急増。
②相対的な割安感の差が及ぼす影響
同じ$7の節約だが、選択が異なる場合がある。
・近場の$25の万年筆と15分先の$18の万年筆
→15分歩いてでも$18の万年筆を買いに行く
・近場の$455のスーツと15分先の$448のスーツ
→近場の$455のスーツを選ぶ
2)アンカリング
ガンのひなは、初めて遭遇する動く物体に強い愛着を示す。
→人間も同様に第一印象や最初の決断は刷り込まれる。
→最初の決断は重要。
また刷り込みがないか自分の判断を吟味し続けるべき。
例①黒真珠
1973年頃、黒真珠には大きな価値は無かった。
→ショーウィンドウで法外に高い値段で飾り、大規模広告。
→あっという間に高級品になった。
例②最初の金額の差
嫌な音をどのくらいの報酬なら聞く?という実験
最初10¢と提示された集団は33¢。
最初90¢と提示された集団は73¢を要求。
→最初に提示された金額がアンカーとなっている。
3) 無料の威力
「無料」となると人間はかなり不合理な選択をしてしまう。
(不合理な選択であっても、無料の方に飛びついてしまう。
ダン先生は「人間は本質的に失うことを本質的に恐れるからでは?と推測。
例①
普通のチョコ1¢、高級チョコ15¢ の場合、普通のチョコ選択は27%。
→普通のチョコ「無料」、高級チョコ14¢ の場合、普通のチョコ選択69%に。
例②
アマゾンが一定額以上の本の買い物の場合、無料配送になるサービス開始。
2冊目がそれほど欲しくなくても、ついつい一定額になるまで買ってしまう。
→大幅に売上が伸びたが、フランスだけは変化無し。
※フランス支社は配送料を無料ではなく1フラン(20円程度)に大幅値下げ。
→無料配送に変更したところフランスでも売上増加。
4) 社会規範と市場規範
人間が社会性を持っている以上、社会規範(道徳など)に縛られている。
一方、お金が絡むと市場規範に変わってしまう。
社会規範と市場規範が衝突すると色々な問題が起きる。
→社会規範の範囲でやり取りした方が結果的に良いときも多い。
お礼するときは現金よりプレゼントの方が望ましい・・など。
例①託児所の例
子供を迎えに来るのが遅れてくる親に罰金を課すと・・
→罰金が無かったときより、更に遅れる頻度が増えた。
(社会規範が市場規範に変わってしまった)
例②
「タイヤ交換手伝って」→ いいよ。
「$3でタイヤ交換手伝って」→ 嫌だ(俺の時間に$3の値打ちしかねーのか)
※社会規範が支配する状況で金銭支払は、相手の意欲を減らす。
例③ キャラメルを何個学生が持っていくか?の実験
1¢のキャラメル → 立ち寄る学生は少ないが、平均3.5個買っていく。
無料のキャラメル→立ち寄る学生は増えたが、持っていく数は平均1.1個
→値段が0だと社会規範が働き、他の人のために自分の欲望を犠牲にする。
当たり前と思っていることが、よく考えると合理的でないことも多く、色々と勉強になります。また時間があれば後半も備忘メモを作成しようと思います。
今回は以上です。