自分用の備忘録(ロジオン)

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【本・漫画の感想-16】二都物語(ディケンズ)

ロジオンです。

 

 今回はチャールズ・ディケンズの「二都物語」(新潮文庫  加賀山卓朗さんの新訳版)の感想を整理してみました。

 

 【感想】

 久しぶりにディケンズでも読もう・・と思って読み始めましたが、「あれ?読んだことない・・」。そういえば子供のときに読んだのは「大いなる遺産」でした。。「二都物語」は初めて読んだので純粋に楽しめました。比喩が多いというのか持って回ったような言い回しが多いというのか、ディケンズっぽい文章を久しぶりに読むと、ちょっと懐かしい感じとともにまどろっこしい印象もありました(多分当時のヨーロッパ世界に対する基礎知識がなくて分からない部分も多いからだと思います)。

 あらすじは割愛しますが、フランス革命前後のパリ・ロンドンを舞台とした小説です。大きな歴史のうねりの中で貴族から市井の人々まで様々な立場の人間の姿が描かれています。

 前半は色々と場面が切り替わりますが、終盤まで読むと前半の各場面が伏線になっていたことが分かり、複雑に人間関係も絡み合っていて面白いです(物語が脱線したように見えても、必ずあとで絡んでくるので無駄がない印象でした)。特に後半の裁判のときにマネット医師の手記が読まれる場面は強く印象に残りました。

  人物造形が複雑すぎず分かりやすいのも、軽い気持ちで読む分にはとても良かったです。私が最も印象に残ったのはドファルジュ夫人です。復讐に取り憑かれて断頭台送りにすると決めた人間を逃さない執念が凄いです(最後はあっさりだったのも印象的ですけど)。もちろんフランス革命は平民vs貴族という単純な図式では無かったのでしょうが、こういう人物がいたかもしれないな~と何となく思ってしまうところが面白いです。

  読んだことがなくても、途中から大筋が想像出来てしまうところはありますが、それでも主要人物の一人であるカートンの自己犠牲の姿と最後の預言には心を打たれます。終盤は怒涛の展開で一気に読んでしまいましたが、良い小説を読んだ~としみじみ思うことが出来ました。

 

今回は以上です。ちなみに「二都物語」を読み終わった直後に「大いなる遺産」も読んだので、また整理したいと思います。