自分用の備忘録(ロジオン)

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【本・漫画の感想-14】陰謀の日本中世史(呉座勇一)

ロジオンです。

 

 今回はベストセラー「応仁の乱」の著者でもある呉座勇一さんの「陰謀の日本中世史」(角川新書)の感想を整理してみました。 

 読んだきっかけはなんとなく書店で手に取っただけ・・です。。

 

<ポイント整理>

・平安末期~関ケ原までの主要事件が網羅されている。

 追っていくだけで何となく日本中世の流れを軽く復習出来る。

・巷に溢れるトンデモ説に関しての否定に重点が置かれている。

 (個人的にはあまり論戦に興味はないので途中少し読み飛ばし。。)

陰謀論の特徴について整理されている終章だけでも参考になる。

 →歴史以外の分野にも当てはまる部分もありそう。

  ①因果関係の単純明快すぎる説明

  ②論理の飛躍

   状況証拠しか無いのに自分の憶測・想像で話を作る

  ③結果から逆行して原因を引き出す

  ④挙証責任の添加

   他人の説を「推測に過ぎない」「確実な証拠がない」と攻撃。

   (自説は想像の積み重ねなのは棚に上げる)

 

 <感想整理> 

  日本の歴史の本は好きでよく読んでいますが、その中にはいわゆる在野の歴史愛好家の書いたトンデモ説も多かったです(歴史学者が書いた本より最初は読みやすいのですが、自信過剰な文章が気になり出して何となく読むのをやめてしまう感じ)。個人的には明確な正解がない分野で、誰がどう主張しようが害がないとは思っていますが、「こういう説や史料もありますよ」と共存するのがあるべき姿ではないかと思っています。色々な説を唱える方々は人間が「合理的に」活動することを前提に考えているような気がしていましたので、この本を読んで今までの違和感が少し無くなった気がしています。

 人間は感情やその時の状況で不合理な行動をする生き物ですし、そもそも未来が完璧には予測できない以上、ある程度は行きあたりばったりな行動になると思います。(自分の生活や仕事を思い返してもそうだと思います)。

 勿論、将来構想は色々な人物が考えていたと思いますが、完全に未来を読んで陰謀を仕掛けた人が勝者になったというよりは、賭けに勝った人や結果的に失敗が少なかった人が勝者になっただけのような気がしています。そう考えると、光秀も秀吉もあらかじめ本能寺の変に備えて事前に何かを準備したというよりも、その時に持っている限られた情報を基に、瞬間的に賭けに出た(光秀は信長襲撃、秀吉は毛利に追いかけられるリスクを取って中国大返し)という考え方のほうが納得できます。

  でも、仕事上などでは「わかりやすく原因を説明する」ことが求められるのも事実です。実際の事象は複雑で一対一の因果関係で説明出来ないことが多いのですが・・。陰謀論が好まれる理由が書いた終章を読んでいて、ふと仕事のことが頭をよぎってしまいました。。

 

今回は以上です。